太陽光発電のゆくえは? 前編 |

太陽光発電のゆくえは? 前編

      2017/09/21

「エネルギー政策」と聞いて、みなさんは何を思い浮かべるでしょうか。
原子力発電、再生可能エネルギー、パリ協定などという言葉とともに、太陽光発電についての記事を目にすることも少なくありませんね。ただ最近はどちらかというと、「太陽光発電はブームが去った」というトーンで語られることが多いように感じます。
大きな理由としては、買取価格が低下していることが挙げられると思います。かといって、日本全体のエネルギー供給を考えた時、例えば原子力発電は再稼働にNGが出ているものや廃炉が決定したものもあるわけで、その代わりとなる再生可能エネルギーの重要性が高まっている背景もあります。

pveye

実際のところ、エネルギー政策の中で太陽光発電は今どう位置づけられているのか、今後も普及が進むのだろうか・・・?そんなことを漠然と感じていた中、再生可能エネルギー業界における、専門メディアPVeye
http://www.pveye.jp/を運営されている社長、川副暁優氏に話しを伺う機会をいただきました。

太陽光発電業界の現状や今後の動向といったマクロ的な視点に立った話しなので、皆さんもご興味あるのではと思います。今回、次回の2回に渡ってこちらで共有できればと思います。

PVeyeはWeb展開の他、書店で購入できる月刊誌もあります。


このような専門媒体があるとは知りませんでした。
6月号では、太陽光関連の企業ランキングも載っています。財務データから、収益力、支払い能力、持久力、成長力、規模等について指数化されていて、比較が一目瞭然です。
不動産関連の会社名もちらほらと出ていました。ま、親和性は高いですものね。
まず川副社長に伺ったのは、ここ最近、太陽光発電関係企業が倒産するというニュースを目にすることが多くなったことについてです。

川副氏
FIT制度が始まって以降、新規参入企業が増えました。当初の買取価格40円というのは各メーカーや建設業者が利益を乗せやすい状況で、投資を拡大していったのです。

成長中の産業というのはどこも似た構造だと思いますが、人的・物的・資金的な投資が一時的に膨れ上がります。太陽光発電の場合はFIT制度で価格が保証されていますから、その動きは更に顕著だったのでしょう。ただ次第に買取価格が減額されていき、環境が変化していきます。

川副氏
買取価格が減額されると、発電事業者の売電収入は下がりますから、発電事業者は初期の設備導入費を抑えて利益を確保しようとします。これに伴い、競争力のあるメーカーや建設業者しか生き残れない厳しい環境に変化していったのです。

結果、変化に対応できなかった企業が倒産などに追い込まれているということなのですね。

川副氏
ちょうど今年から、企業間淘汰が表面化してきたところなので、もう少しネガティブな話題は続くでしょう。逆にいえば、この局面を乗り越えられる企業は、今後も成長路線を歩み続ける可能性を秘めています。
倒産する企業は、どの業界でも常に一定割合存在します。太陽光発電業界の倒産率が高いかどうかについては、他業界の倒産率を求め、比較してみなければ分かりません。あくまでも感覚的な印象ですが、私は太陽光発電業界の倒産率が特別高いとは思いません。

確かにニュースで報道されるのは倒産したという事実だけが多いですからね。
これは私も日々感じていることで、新しい出来事は取り上げられがちですが、あまり変化がない部分や継続的に行われていることは「ニュース」にはなりにくいのです。

川副氏のお話しを伺っていて改めて認識したのが、そもそも日本で再生可能エネルギーの導入を進めなければならない大きな理由のひとつは、日本には資源がなく、エネルギーを自前でつくる必要があるということ。
再生可能エネルギーの普及拡大は、何もここ数年で出てきた話しではなく、1973年の第一次オイルショックに端を発しています。他国から輸入する化石燃料に依存し過ぎると、エネルギーの安定供給に支障来し、経済が疲弊しかねない大きなリスクがあることが分かったのです。そこで1974年にサンシャイン計画が発足され、再生可能エネルギーを日本に普及させていこうという国家プロジェクトが始動し、紆余曲折を経て今に至っているのです。
最近では、温室効果ガス排出削減の国際枠組み「パリ協定」の合意もあって、再生可能エネルギーの普及は世界規模で進められています。今のところ日本は、原子力、石炭、天然ガス、石油もベストな構成、すなわち「エネルギーミックス(2013年度の目標とする電源構成)」を進めているという状況ですね。

第2回(2016年6月)の「国のエネルギー政策 電源構成2030年度目標の円グラフ」

エネルギーミックス

2030年度目標によると、再生可能エネルギーの割合は22~24%。
そのうち太陽光発電は7%(64GW相当)を目安としています。現状、設置済みとほぼ建設が決まっているものを除くと、残りが15GW程度になっているとのこと。
一方、太陽光発電以外の再エネ(風力、地熱、バイオマスなど)は、規制や利権、費用面などを含めて一筋縄ではいかない難しい状況のようです。

川副氏によると、例えば、風力発電は3~4%(36GW相当)の導入目標に対し、2017年3月末時点で3.3GW。もう少し言うと、FIT始動前に既に2.6GW導入されていたので、FIT後の5年間は0.7GWしか増えていないのだそうです。FIT制度がかすんでしまうほど、参入障壁が高いことがわかります。普及までには、何らかの工夫が必要といえるでしょう。
また、エネルギーミックスの中で、原子力の割合は20~22%とありますが、これを保つためには、現在ある設備をフル稼働させる必要があるとのこと。廃炉や稼働停止になっているものもあることを考えると、現実的ではない気もします。
ということを総合的に見てみると、再生可能エネルギーの中で太陽光発電の位置づけは、必然的に重視されるのではないかと考えられます。

長くなりましたので、続きは次回に。
FIT制度の目指すところや出力制御について、伺ったお話しをご紹介します。

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