太陽光発電のゆくえは? 後編(part2) |

太陽光発電のゆくえは? 後編(part2)

      2017/09/22

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次に、太陽光発電所の所有者にとってリスクとなる「出力抑制」についても伺いました。
出力抑制とは、気象条件によって発電量が変動する太陽光発電など電力が電力系統に大量に接続され、電力の需給バランスが崩れそうになる時に実施されるもので、各電力会社が管轄する管内の再生可能エネルギー電源を調整することです。現在、東京、中部、関西を除く7電力地域で導入されています。

投資側からすると、発電しているのに買取ってもらえないということですから、出力抑制には一定の制限が設けられていないと、発電事業は危ういものになってしまいます。そこで太陽光発電の出力抑制は、当初年間30日までという上限が設けられていました。
ただしこのルールでは、仮に電力会社が1日に1回数時間の出力抑制を実施した場合も出力抑制を1日実施したということになるため、電力会社にとっては事実上、年に30回しか出力抑制を発動できません。それでも当初は出力抑制を発動するほど再生可能エネルギーが普及していなかったので問題にはならなかったのですが、やがて太陽光発電が大量に普及すると、電力会社の出力抑制が制限されているために再生可能エネルギーの連系量が制限されてしまうという問題が生じたのです。

そこで政府は、再生可能エネルギーの連系量を増やす手立てとして、出力抑制の上限を、年間30日から年間360時間に変更しました。というのも、出力抑制が実際に必要になるのは、夏場や冬場の一時期で、しかも1日に数時間程度ですから、時間単位で柔軟に出力抑制できるようにすれば、投資家の事業リスクに配慮しつつ、出力抑制の上限を広げ、結果として再生可能エネルギーの連系量を増やすことができるからです。

しかしながら、そうまでしても、太陽光発電の連系申込量が急増したため、対応できない地域が出てきました。そこで政府は、そのような地域への最終的な方法として、無制限・無補償の出力抑制を導入するのです。つまり、いざとなれば、電力会社は再生可能エネルギー発電設備の出力を無制限に抑制できるようにすることによって、再生可能エネルギーをさらに連系できるようにしたのです。このルールは出力抑制の上限撤廃ですから、当然ながら太陽光発電所を所有する投資家には大きなリスクです。

ただ、川副氏は、

川副氏
無制限の出力抑制ルールが導入された地域でも、発電事業が成立しないほど出力抑制が実施される可能性は極めて小さいと捉え、太陽光発電事業を始める投資家もいます。

とおっしゃっています。
確かに電力広域的運営推進機関の公表情報によると、これまで出力抑制が実施されたエリアは、2015年度に九州電力管内の種子島、2016年度に同管内の種子島と壱岐、2017年度(9月14日現在)では同管内の種子島・壱岐・徳之島と、限られたエリアとなっています。

また、こう続けました。

川副氏
FIT制度のおかげで、太陽光発電の導入コストは劇的に下がりました。いまでは太陽光発電設備を設置して自家消費すれば、電力会社から電気を購入するよりも、安く電気を使用できる環境が整いつつあります。この自家消費利用こそ、分散型発電である太陽光発電の本来のあるべき利用形態ですし、自家消費する太陽光発電設備に関しては税制を優遇してもらえるなどのメリットもあります。ですから、無制限の出力抑制ルールが課される地域の企業家は、太陽光発電の発電事業よりも、太陽光発電の自家消費による電気代の削減によってメリットを追求する投資手法を積極的に進めていってほしいですね。

今回、川副氏にお話しを伺ったことで、日本のエネルギー政策というマクロ的な視点から、再生可能エネルギーの1つである太陽光発電は現在どういった立ち位置にあるのか等、業界全体の動向について大きな流れを知ることができました。
普段はどうしても現場における日々の情報がメインになるため、全体像を俯瞰して理解する貴重な機会となりました。

 - 太陽光投資コラム