ソーラーパネルメーカーさんに、直接お話しを伺ってきました。 後編 -

ソーラーパネルメーカーさんに、直接お話しを伺ってきました。 後編

      2017/12/21

前回に引き続き、ソーラーパネルメーカー、インリー・グリーンエナジージャパン株式会社の代表取締役社長、山本譲司氏に伺ったお話をご紹介していきます。

前回最後は、インリー社さんが現在意識されていること~パネル販売だけではなく、発電設備を投資・設置しやすい環境を整えていく~という話で終わりました。
太陽光発電所が普及を促進する3大要素~①システム&施工②土地&屋根③資金~をつなげるために山本氏が意識されているのは、「仲間を増やそう!」ということ。
実際の取り組みとしては、このようなことをされているそうです。

① 太陽光発電設備に関する部品ひとつひとつだけではなく、発電所が生み出す「発電量」が重要なので、それをシステム(パッケージ)として見た時の全体の最適化と品質が大切。というわけで、パワコンメーカーや架台メーカーとも協力して製品開発等を行っている。

②用地取得は、デベロッパーと組み用地取得のスキームつくっているところ。また自治体とも共同で取り組んで、遊休地を借りて活用する試みも。最近では、陸前高田市との提携が進んでいる。

③ファイナンスについては、しっかりとした施工を行い利益を得られる発電所に対して融資していただくという段取りができるよう、金融機関に対して働きかけを。

②についてもう少し伺ってみると、「太陽光発電に適した土地が無くなってきたと言われたりもしますが、不動産マーケットに出てくる土地が無いだけ。地方にはご高齢の方が保有しており眠っている土地があることも多く、人づてで地道に追っていくしかありません。」(山本氏)やはり不動産は、「人」のつながりが大きいものなのだと妙に納得しました。 
土地を保有されている方は、先祖代々の土地だから売れないという声が多いそうで、とすると「単純にお金の話しだけではないわけです。お持ちの土地をお貸出しいただいて、それを日本の貴重な資源としてエネルギーに変えていくという話をさせていただきます。」(山本氏)

また「陸前高田」の計画にも興味が湧き、もう少し伺ってみました。
陸前高田市とは現在、市の遊休地を活用した自家消費のプロジェクトを進められているそう。ここ数年で太陽光設備設置のコストが下がったため、太陽光発電で得られる電気のコストはこれまでの既存電力から購入するコストと同等かそれ以下な状態(グリットパリティ)になった。であれば、クリーンな電力を自給自足していくという考え方はありではないかと。
個人の自宅屋根だけでは(夜間や冬期などの日照量が少ない時期に)発電量が足りないため、屋根と低圧発電所の組み合わせで自給自足を成立させようという計画なのだとか。具体的には、6世帯+低圧発電所1カ所を1単位として、まずは1年かけて実際の需要データを取り、それに基づき供給を整えるという方法。3~5年くらいで実際の運営が目に見えてくるそうです。
資金は最終的には「市民ファンド」という形で募るそうで、まさに電気の「自給自足」ですね。

「毎日の生活を送る上で、電気を買っていない人はいません。あまり知られていないのですが、現状では電源全体の86%を占める化石燃料による火力発電に頼らないということも含め、徐々に浸透させていきたいと思っています。関係者を増やしていきたいですね。」と熱く語る山本社長。
目の前のことではなく、いかに太陽光発電の優位性を知ってもらって、中長期で太陽光を普及させていくか?というスタンスを垣間見た気がしました。

自家消費が広まりつつある例として、こんなお話しも伺いました。スーパーマーケット等の屋根に太陽光発電設備をつくり、発電した電力を売電するのではなく自身で消費するという動きです。既存の電力会社から購入するよりも安価(燃料費高騰の影響や再エネ賦課金の負担も無し)ということで、企業としてもコスト削減効果は大きいのでしょう。
実際の現場では、このような状況が出てきているそうです。

今後の課題の1つは、電力の需給バランスだとおっしゃる山本氏。
「太陽光による発電コストが安いのは、都市部と比較して人口の少なく土地のコストが安い地方です。つまり、電力需要と太陽光による電力供給能力は反比例するのです。しかしながら電力は、需給バランスをとることが必要ですから、電力需要があるものを地方に集めるという考え方もありでしょう。例えば、ハウス農業、データセンター(サーバーを冷やす必要があり、電気を大量に使用)、工場といったものです。
用地コストという面ではどうしても割高になる都市部で考えるのであれば、やはり農地にポテンシャルがあるのではと感じます。」(山本氏)

日本で3本の指に入る実績をお持ちのインリーさんは今年、新製品をリリースしています。
それはなんと、両面発電するソーラーパネル。
一般的に普及している安価なP型多結晶のパネルに対し、N型単結晶のパネルは裏面も表面同様に発電するという特徴を活かし、通常パネルの裏面の樹脂のところを、表面同様にガラスにすることで、裏面からも発電可能にした製品を発売したとのこと。


インリーさんによると、このN型単結晶のパネルはさらに低照度(曇りや雨)の時の発電量が稼げるという特徴も併せ持っており、ある国内メーカーのものと同等の発電をする一方、コストは半分ほどだとか。
「国内メーカーとインリーのパネルが同程度の発電をするということを、弊社の社員が自宅の屋根を使用し実証実験をしています。双方のパネルを半分半分搭載して比較してみたところ、発電量はほぼ同じでした。
両面発電では、裏面からの発電で最大30%UPするということの他、耐久性が良くなることや、劣化率が従来のものよりゆるやかになるというメリットもあるのです。」(山本氏)
耐久性がアップするということに伴い、通常25年の出力保証の期間を30年にしたそうです。
本格的な両面発電はインリーさんが先行しているとのことで、技術的な革新が進んでいるのだと感じました。

「資源がないと言われる日本でも、太陽光の活用ができれば、資源を作り出すことができます。そのことに多くの方に気がついていただきたいのです。」(山本氏)
私を含め、子供の頃から「日本には資源が無いから、輸入に頼るしかない。」といった認識でおられる方も少なくないことと思います。
それが技術革新により、状況は変わりつつあるのだ、ということを改めて感じた時間でした。

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